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 クロアチア国立ザグレブ大学・音楽アカデミーを最優秀にて卒業。卒業研究発表として、ベートーヴェン・リスト・スクリャービンのソナタとクロアチアの女性作曲家ドラ・ペヤチェヴィッチの作品によるリサイタルをザグレブにて開催、及びモーツァルトのピアノソナタの解釈とテクニックについて論文執筆。在学中より、ローマ国際ピアノコンクール・ディプロマ、カミッロ・トーニ国際ピアノコンクールピアノソロ部門第3位・及び特別賞、ザイラー国際音楽コンクールピアノ部門第1位、アントン・ルビンステイン国際ピアノコンクール第5位、ヨハネス・ブラームス国際音楽コンクールピアノ部門第2位など、8つの国際コンクールで入賞。また、日本はもとより、クロアチア・ドイツ・イタリアにてリサイタル・室内楽・音楽祭への出演など、精力的に演奏活動を行い、特にクロアチアとドイツで開催されたリサイタルは地元各紙にも大きく取り上げられ、「繊細かつダイナミック」「最高クラスのピアニスト」などと賛辞を受けている。


 2007年、日本における正式デビューリサイタルを京都・大阪・東京・横浜にて開催 (東京公演は、東京文化会館にてクロアチアのザグレブ弦楽四重奏団とのピアノ五重奏)。大阪公演の演奏は誌面でも高く評価され、同年秋ライヴCD「Dance of the Baroness」となりプラネティ・レーベルより発売された。以来、コンサートの他、雑誌への記事執筆、テレビ・ラジオ・レクチャー・ヤマハブロードバンド講座にも出演しており、特に「たけしの誰でもピカソ(テレビ東京系)」に出演した際は、北野武氏より「豊かな感性」と絶賛された。その一連の活動で特筆に値するのは、クロアチア音楽演奏の第一人者として、クロアチア人作曲家による作品の日本での普及活動であり、多数の本邦初演も含め、デビュー前より10年来日本各地の演奏会でクロアチア作品を常に取り上げ、人々の大きな関心を呼んでいる。特に、ドラ・ペヤチェヴィッチやボジダル・クンツの作品と現クロアチア大統領のイヴォ・ヨシポヴィッチ氏の作品の演奏には定評がある。2012年はデビュー5周年記念として、ザグレブ弦楽四重奏団と共に、東京にてドラ・ペヤチェヴィッチのピアノ五重奏曲の日本初演、そして全国5都市でクロアチア作品を含んだ記念リサイタルを開催。また、前述のライヴCDにはクロアチア作品も収録されており、2010年秋のBSフジ開局10周年記念特別番組「okaeri 山口智子 美の巡礼」(クロアチアの紀行ドキュメンタリー)で、番組全体にわたりCDの音源が使用され注目を集めた他、TBS系ネットラジオ「オッターヴァ」の生放送にてクロアチア作品ライヴ、そしてドラ・ペヤチェヴィッチのピアノ曲集「花の一生」の日本初のCD化などクロアチア作品の普及活動の功績は大きい。また、2013年秋には、ペヤチェヴィッチのゆかりの地、クロアチアの東部の町ナシツェで開催されたドラ・ペヤチェヴィッチメモリアル主催のフェスティバルに日本人として初めて招待され、今は記念館として残るペヤチェヴィッチの伯爵邸に現存する彼女が愛用した当時のブリュートナーで演奏、そしてドラ伯爵令嬢音楽学校コンサートホールにて、ペヤチェヴィッチをはじめとするオール・クロアチア作品のプログラムでリサイタルを開催し大喝采を受ける。その模様は、国営テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などでも大きく取り上げられ、”クロアチア音楽のスペシャリストである日本人”としてその名を轟かせた。


 その他、桃雪琴梨原作の人気コミック「僕のショパン」とのコラボレーションで、人気声優・小野大輔、鈴村健一らと共にショパン・リスト・シューマン・メンデルスゾーンのCDを(株)バップより発売し、マンガ好きの人々へクラシック音楽の浸透に尽力。また、安達朋博三部作CDとしてショパン作品集「EXOTIC CHOPIN」、シューマン作品集「FANTASTIC SCHUMANN」、リスト作品集「AESTHETIC LISZT」を同社より発売。 近年、ソロのほか歌の伴奏や室内楽の分野でも絶大な支持を得、またホールのみならずクロアチア政府観光局のイベントやクロアチア大使館・ロシア総領事館などでの演奏も含め年間約50本のコンサート活動を行っている。


 日本の音楽学校には行かず、戦後間もない、紺碧のアドリア海と緑の山々に囲まれたクロアチアの大地で磨かれた感性は、非常にセンシティブでデリケートである。それは音楽解釈の独創性にも繋がっており、根強いファンを増やし続けている。



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大阪いずみホール デビューリサイタル 演奏会評
月刊誌「音楽の友」10月号掲載

デビュー・リサイタルを象徴するような意欲的プログラム。バッハ「トッカータ・ハ短調」が開始された時、その透明で想いの深さを感じさせる音色に接した聴衆は、驚きの思いを抱いたのではなかろうか。“デビュー”の語が伝える「未知の不安」を拭い去った世界が開かれていたからである。主旋律を強く刻み込むフレーズでも副旋律は息づき、彫りの深い曲想へと展開していった。ベートーヴェン「ソナタ第31番」では、何よりも曲全体の深い想いに演奏者の想いを交差させた。丹念な音の積み重ねの中から定型を突き破るエネルギーも感じさせる。スクリャービンの「ソナタ第5番」を安達は前半の“内省的な演奏”の総括と位置づけていたように思う。沈潜した中間部と激しい後半の対比に、新人とは思われないパッションが演出された。後半は安達が音楽家として育ったクロアチアの、ペヤチェヴィチ「2つの間奏曲」とパラッチ《男爵夫人の踊り》の後、リスト「ソナタ・ロ短調」を披露。激しさと叙情を憧れに満ちた音色で巧みに構成した演奏である。ダイナミズムと深い想いを融合させた若々しさ、緻密さと同居するスケールの大きさを失わずに成長してほしい。何よりもそのみずみずしい音楽性は貴重な宝だと思う。 8月11日・大阪いずみホール 嶋田邦雄